多様な事業を展開するFC今治の企業理念を一気通貫で根付かせる手法とは ~ヒストリーやアイデンティティの浸透~
次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する
これがFC今治を運営する、今治.夢スポーツの企業理念だ。
FC今治は2015年のRe:START以来、企業理念に基づきサッカークラブの枠にとどまらず、地域づくりや人づくりにフォーカスした多様な事業を積極的に展開してきた。一方で、フットボールや各事業に「企業理念がどのように反映されているのか」が明確ではなく、実際にフットボール事業のファン・サポーターからも「フットボール以外の事業がよく分からない」との声が上がるなど、ステークホルダーからも企業活動が正しく理解されておらずクラブの価値を伝える取り組み(ブランディング)が体系的にできていなかった。「ワークショップを通じて、企業理念が社員に浸透し、理念を意識しながら様々な事業を展開している会社であることが分かりました。それをフットボールのファンやサポーターはもちろん、各事業の関係者にも根付かせていくことでFC今治がさらに発展していくと感じました」そう話すのはマネージャーの今井由貴子だ。今井を中心に今治.夢スポーツ全事業の社員を対象にワークショップを実施し、「企業理念の下で各事業がどう在るべきか」について深堀を実施し、課題を明確化したことが本プロジェクトの始まりだった。
各事業の結びつきが共通言語化されていない中、企業理念を体現し続ける組織であるためには、グループシナジーを発揮できる体制を整えること、その体制を可視化することが必要な状況だったのだ。そこでFC今治の広報チームとデロイト トーマツでブランディングの見直しに着手。今治.夢スポーツのフットボール以外の事業の位置づけなどについて議論を重ねた。フットボールだけではなく、教育事業やコミュニティ事業など他事業にも取り組んでいることをファンやサポーター、地域の人たちに伝えていく。それがFC今治の出した答えだ。フットボール事業だけではなく、全ての事業を含む企業としての今治.夢スポーツを表現し、発信していくために”FC今治”をコーポレートブランドとし、新たなコーポレートロゴを検討することとなったのだ。
ロゴデザインは従来の課題点も踏まえ、「企業としてのFC今治の理念や価値観を表現するもの」「様々な事業で活用できる視認性の高いもの」とすることを念頭に、また、他クラブや企業の事例も収集し、ステークホルダーからの理解を得る進め方も模索しつつサッカークラブとしてのヒストリーやアイデンティティを継承する形で進められた。
こうして、FC今治を象徴する新たなロゴが完成した。
「瀬戸内海を航行する船が航跡波を作りながら進む姿こそが、まさにFC今治が情熱を持って、サッカーだけでなく様々な事業に挑戦し、邁進する姿である。また、その波にFC今治ファミリーの様々な船が、一緒になって突き進んでいきたい」という想いを込めた、瀬戸内海に面した街に根差したクラブならではの唯一無二のロゴだ。
「フットボール以外の事業も含め、FC今治ファミリーとともに歩んでいくことを象徴するような素晴らしいロゴができたと確信しています。」と述べるのは株式会社今治.夢スポーツ 執行役員の青木氏だ。
2024年11月17日。2015年のRe:START以来10周年を迎えた記念イベントの場で新たなロゴがお披露目された。新たなロゴととともに、フットボールだけでないFC今治の未来への航海が始まったのだ。そのタイミングでブランド認知をより高めていくため、ブランディングムービーを制作・公表することとなった。
ちょうどこのころ、念願のJ2昇格を決めたことで、注目度も高まりブランド浸透を図るには絶好のチャンスとなった。
ブランディングムービーのタイトルは”Beyond Football”。
「サッカーだけでなく様々な事業に係る方々からFC今治とともに歩むさらに10年後の自分像を集めることで、FC今治がRe:Startから10周年の今、また次の10年へと”ヒトの未来を紡ぐ存在”となっていることを象徴するムービーとしました」そう話すのはDeloitte Digitalのエグゼクティブ クリエイティブ ディレクターの八代 圭だ。
ムービー制作に際し、「10年後のFC今治と私」というテーマに沿った総勢約550名のFC今治ファミリーのメッセージを掲載したビッグフラッグを制作。出来上がったフラッグを約100名のFC今治ファミリーとともに掲げ、実際にメッセージに込めた想いを語っていただくなど多くのファミリーの想いの詰まったFC今治を象徴するムービーとなった。
制作したムービーは、試合や試合ハイライト動画の前後、今治市内のイオンなどでの放映が予定されている。ビッグフラッグも各種イベントに使用される予定である。
「今後さらにフットボールの枠を超えたFC今治ブランドを浸透させる背中を押す動画になることを願っています」(今井)
これからまた次の10年に向かって、サッカーだけにとどまらず、老若男女を巻き込んでヒトの未来を紡ぎ続けるFC今治に注目だ。
FC今治公式サイト
コーポレートロゴのリニューアルについて
https://www.fcimabari.com/news/u9vxfhorox
ブランディングムービー『Beyond Football』公開